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法務のインフラを作る。リクルートから転じたインハウスロイヤーのキャリア

人材大手リクルートでの企業内弁護士(インハウスロイヤー)経験を経て、スタートアップとして走り始めたばかりのLegalOn Technologiesに入社した吹野は、弁護士としてリリース間もないLegalOn製品の開発を手掛けたほか、メディアの立ち上げなどを経て、現在は法務として活躍しています。大手からLegalOnに転じた理由や、リーガルテックのインハウスロイヤーならではのやりがいについて聞きました。

吹野加奈(ふきの・かな)
法務グループ シニアマネージャー/弁護士
2014年に慶応義塾大学法科大学院を修了、15年に司法修習を終了。16年から株式会社リクルートでインハウスロイヤーとして事業支援法務に従事した後、19年にLegalForce(現LegalOn Technologies)に参画。法務開発やウェブメディア「契約ウォッチ」の立ち上げ、法務部門の立ち上げなどを経て、現職。「リーガルオペレーションズ」※の研究に力を入れ、「戦略のための戦術CORE8 日本の法務部門の場合」(商事法務)の執筆に参加。
※法務部門のオペレーションにビジネス管理手法やテクノロジーを導入し、日常業務を進化させること。

ユーザーであり、ベンダーとなる

― LegalOnへ転職を決めた経緯を教えてください。

2015年に司法修習を終え、16年4月から19年2月まで、リクルートの法務部として勤務していました。

私自身、「さまざまな出会いによって人生が豊かになった」と感じており、「出会いの場を提供することによって利益も上げている」というビジネスモデルに魅力を感じたのが、企業選びのきっかけです。

前職においては新規事業の立ち上げ支援業務が多く、プロジェクトチームのなかではほぼ一人法務のような形で、新規事業に対して法務観点から支援させていただいていました。

そんな中、大学時代の知り合いで、LegalForce(現・LegalOn)で働いていた川戸さん(現執行役員・CRSO(Chief Revenue Strategy Officer)・Head of Alliances)に声をかけられ、LegalOnのことを知りました。

転職を考えるようになり、さまざまな話を聞きましたが、一番印象に残っているのは弁護士でもある角田代表から「一緒に法務のインフラをつくろう」と言われたことです。

ダム建設にかかわった祖父の影響で、社会基盤を支えるインフラ作りにあこがれがあり、心に響きました。

LegalOnなら、法務である私がユーザーとして「利用する側」にありながら、ベンダーとして多くの法務担当者の仕事のインフラとなるサービス開発を経験できる。
その点に大きな魅力を感じました。
また、リーガルテックが登場する前のアナログな業務を経験したからこその視点も生かせると思い、入社を決めました。

自分が歩む道こそがキャリアになる

― 率直にお聞きしますが、当時、社員10名にも満たなかったLegalOnへの転職に不安はありませんでしたか。

転職をする際、不安要素になるものは対人関係と経済面だと整理しています。
私の場合、LegalOnに勤務する知人を通して職場の雰囲気も知っていたので対人関係の心配はありませんでした。
一方、経済面については弁護士の資格もありますし、正直、「困ったらまた考えればよい」くらいの気持ちでした。
前職からも「また戻ってきてね」と声をかけていただいていたので、LegalOnに転職する不安はほとんどありませんでした。

ありたい将来を見据えて、戦略的にキャリアを積み重ねることも選択肢の一つだと思いますが、私はさまざまな分野に興味があるタイプなので、その時々の選択で正しいと思ったことを大切にして、その時々のステージで頑張る方が性に合っています。

前職の上司が言っていた「自分が歩む道こそがキャリアになるのだ」という言葉も背中を押してくれました。
歩んできたことの積み重ねを、私のキャリアとして確立させようと思っています。

法務開発→メディア立ち上げ→法務へ

― LegalOnに入社してからはどのような職務に携わりましたか。

弊社が提供する法務コンテンツの開発全般を担う「法務開発」を担当しました。
当時、リリース間もなかったAIレビューサービス「LegalForce」の指摘項目に一定の基準を設けたり、当時はまだなかったレビュー結果の解説文を作ったりしました。
製品を改善するための開発工程としては一番上流にあるため、開発スケジュールを作り、エンジニアと連携しながら改良を進めていきました。

また、製品のことを知ってもらい、改善にもつなげるためにユーザーを招いて契約書レビューのワークショップなども並行して開催していました。
その反響が良く、現在マーケティング部が担っているセミナーにつながっていきました。

こうした取り組みが一通り軌道に乗ったあとは後任にバトンタッチし、契約に関する学習を支援するメディア「契約ウォッチ」の立ち上げに取り組みました。
その後、契約ウォッチにも専任の担当者が入社したことを受けて、現在も所属している法務組織をイチから立ち上げ、それから今に至るまで法務を主務としています。

約1年の産休・育休を経て、現在は子育てをしながら、できる範囲のことに取り組んでいます。
おかげさまで事業の成長に伴い、創業当時ではあまり想像できなかった働き方ができるほど、制度が整えられるようになりました。
振り返ると、多くのユーザーに支えられながら私もさまざまなことを経験し、会社と一緒に成長してきたと感じます。

― 法務組織ではどのような業務を担当されていますか。

機関法務を担っており、株主総会や取締役会の運営、株主からの問い合わせ対応などに取り組んでいます。
企業規模の変化に伴い、直面する課題や景色も変わってきますので、その時々に応じたコーポレートの問題に対応することは非常にやりがいがあります。

役員の選任情報や会社の経営情報など、一般の従業員には公開されない内容に日々ふれる業務を担っているまさに裏方のような仕事なので、他の社員には私たちの業務の様子はあまり知られていないかもしれません。
それでも、この役割をする人材がいないと会社を安心して前進させられませんし、次のステップにも取り組めない。
そんな仕事に携われていることにやりがいを感じています。

また、機関法務は当社がこれからサービス展開を目指す領域で、サービス開発にあたっては、私たちのナレッジも生かされています。
機関法務として会社を支える一方で、多くのお客さまにお役立ていただける業界全体のベストプラクティスを築く一翼を担っていることにもやりがいを感じます。

社外活動でも広がる経験とコミュニティ

― LegalOnに入社して良かったと感じたことを教えてください。

法令解説などセミナーへの登壇や出版物の編集に携わる機会も多くあり、自身のスキルアップにつながりました。
また、日本組織内弁護士協会(JILA)での活動などを通じて、リーガルテックに関する研究会の立ち上げに携わったり、さまざまなコミュニティの方と交流したりと、法務関係者同士のつながりの輪を広げることができています。

一般的な企業のイチ法務部員ではなかなか得られないこうしたチャンスをいただいているのは、法務であり、かつリーガルテックベンダーであるという特性からだと感じています。

社外のさまざまなコミュニティに参加したり、執筆したりする機会についても、会社がきちんと評価してくださるので、とてもやりがいを感じています。

LegalOnと自分自身の成長が楽しめる人と働きたい

― どのような方であれば、LegalOnでやりがいを持って働けると思いますか。

LegalOnは変化が激しい会社なので、事業の成長を楽しみつつ、「自分から好きなことを仕掛けられる方」ですね。

Legalonは、「あれやってみたらいいんじゃない」「これ試してみようよ」とアイデアを提案したら、実行できる組織です。
部署に関係なく協力的な社員も多いですし、部署の垣根を越えてやりたいことにチャレンジできる環境が整っています。

法務部門で言えば、ある程度のオペレーションは整えたものの、企業規模が大きくなる中で法務に求められることもどんどん変わっています。
例えばバーチャル株主総会といった新しい風を取り入れなければならないかもしれません。
そういった変化を楽しみながら、アウトプットしていける方がLegalOnに向いていると思います。

― 吹野さんの今後の目標ややりたいことについて教えてください。

インプットと自己研鑽を継続して行い、自身をアップデートし続けたいと思います。

創業間もなく社員も少ないLegalOnに入社し、「私の仕事の領域が広がれば会社も成長していく」というように、会社の成長と自分自身の成長がリンクしている感覚でこれまでいました。
ただ、産休・育休から復帰すると、会社はグローバル企業に成長していて、どこか遠い存在のように感じてしまいました。今は子育てをしながらの仕事ということもありますが、このままでは、会社の成長に自分の成長がついていけない。

そこでこれからは、私が特に力を入れて取り組んできたリーガルオペレーションズについて、より力を入れて学びたいと考えています。
その成果を、LegalOnの法務組織づくりやお客さまの支援に生かすことで、多くの企業の法務機能の発展につなげられたらと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!