人生100年時代。私はデザイナーとして生きていく
2021年11月、「LegalForceキャビネ」のUI/UXデザイナーとして、矢野りんが入社しました。Webのコンテンツデザインから、アプリの企画・デザイン、プロモーション施策の実施など、デザイナーとして幅広い実績を積んできた矢野が、なぜLegalForceを選んだのでしょうか。入社の理由と、これからの展望についてインタビューしました。
スマホ日本語入力のさきがけ「Simeji」の生みの親
――5,000万DLを記録したきせかえキーボードアプリ「Simeji」を開発したんですよね。
2008~9年にスマホが登場したとき、デザイナーとして何かつくれたらいいな、と思っていたんです。当時Androidが日本に上陸しましたが、オフィシャルな日本語入力キーボードはなかった。それならつくってみようということで、プログラマーとともに「Simeji」を開発しました。
先行者利益もあって、2年ほどで100万DLを達成。ないものをつくって、それが一般化していくのがおもしろかったし、世の中が変わっていく実感がありました。一方で、借り物のサーバーを使っていたので負荷が高まり、コストも増えていったので、バイドゥ社への事業譲渡を決断。開発担当者として参画することを打診され、入社しました。
――バイドゥに移ったあとは、どんなお仕事をしていたんですか?
ミッションは、デザイナーとして「Simeji」の使い勝手を良くすることでした。フリックの速さを向上させたり、キーボードのフォント着せ替え機能を実装したりしました。サーバーに単語を登録すれば、各端末の変換候補に瞬時に表示できるようにしたので、ブレイクしたての芸能人の名前なんかもすぐに反映。それらがユーザーから評価してもらえたのは嬉しかったですね。
マネージャーになると、アプリ運用などの仕事の比重が増えていきました。もちろん開発にも携わり、しょっちゅう中国に出張して現地メンバーと綿密にやりとりしていましたが、彼らも腕を上げ、組織化も進行。私と深く話さなくても機能を実装できるようになっていました。
50代が見えてきたときだったので、これからマネージャーとして組織で上り詰めるのか、デザイナーとして手を動かしていくのか決めなければと考えるようになりました。私が出したのは、「人生100年時代。私はこれからもデザイナーとして現場で生きていきたい。サービスの成長を支える側でいつづけたい」という答えでした。
「LegalForceのメンバーと働きたい」が入社の決め手に
―― それで、転職を決意したんですね。
私が行くべきは、やはり開発の現場だと思いました。マネジメントや組織づくりを期待される年齢ですが、いくつだろうと新しいことをしている人になりたかった。昔から現場のことを知らないで、ただ部下を使うだけの人が好きじゃなかったので(笑)。
どんなサービスに取り組みたいかを考えたとき、市場・分野に特化したソリューションを提供するSaaSが浮かびました。アプリ開発をしてきた私からすると、ウェブページの体裁をとりながら複雑に動くSaaSは、かなりチャレンジングなフィールド。すでにSaaS関連の会社で活躍している知人もいて、一生懸命製品を育てて課題解決につなげている姿も見ていました。
―― SaaSを提供する企業の中でも、LegalForceを選んだのはなぜですか?
LegalForceの選考では、早い段階から働く環境や業務内容をリアルに感じることができたのはよかったです。ただ、それよりもっと重要だったのは誰と働くかでした。
デザインチームのリーダー・鈴木との面接では、業務についてはもちろん「自社をもっとこうしたい、こういうところが足りていない」という話も論理的に明確にしてもらえました。明るくて素敵な人だなと、彼女に一目惚れしましたね(笑)。COOの川戸ともお話しましたが、すごく博識で、製品に対してじっくり説明してもらえました。それを聞いているとすっかり「中の人」の気分になってしまって、「どうすればこの製品の将来性や可能性を人に伝えられるんだろう」なんて考えて眠れなくなりました(笑)。
LgealForceのメンバーと一緒に働きたいと思えたのが決め手になりました。
―― 面接の段階から、LegalForceに思いを寄せてもらっていたんですね!
もちろん迷いもありました。今まで私は、わりと感覚でいろんなことを決めてきたんですが、LegalForceはきちんと理詰めで思考する人が多い会社。やっていけるのかと萎縮していた面もあります。でも結局は製品への興味と、「この会社の人たちとなら世の中を変えられる」という思いが勝りました。私のような「変な人」がいても大丈夫だろうと(笑)。
「LegalForceキャビネ」の機能強化へ、多彩なメンバーと挑む
――入社後は「LegalForceキャビネ」の担当になりましたが、どんなことを感じましたか?
「LegalForceキャビネチーム」のみなさんが「私がやらなきゃ誰がやるんだ」と、がむしゃらに働いていることですね。前職の中国の開発チームに匹敵するくらいで、日本にもこんな人たちがいるのかと驚きました。若いメンバーが多いのにみんな言い訳をしないで、開発経験がなくても、ワークフローなんかをきちんと頭に入れて取り組んでいます。
たとえばデザインチームリーダーの鈴木さん。データ処理のことを含めてたくさんのドキュメントを読み込んで、開発のことも理解しながら現場をまとめています。PdMの乾は、いろんな契約形態や契約書の条文が全部頭に入っているので、どんな内容が望ましいかすぐに判断できる。その深いドメイン知識には舌を巻いています。ホスピタリティもあって、すごくいいチームだなと思います。
――今までのようなアプリをつくる現場と、SaaSである「LegalForce」の現場とでは、やはり違いを感じますか?
アプリは動くことが保証された部品のようなものをつなぎ合わせてつくります。それに比べてSaaSはとても複雑で、ソリューションのための独自の形も求められます。また、無料アプリはフェイル・ファーストが通用するので、バグがあったら一旦引っ込めるくらいの気持ちでリリースできますが、LegalForceのサービスは有料なのでそうはいかないですよね。
PdMの乾は行政書士でもあり、彼女のようにドメイン知識を持っている人がいないと成立しないのもSaaSならではです。弁護士や行政書士など法律の知識を持ったメンバー、開発者やデザイナーなどの専門家が、一つの目的のために働いている。多彩な人たちが集まって知見をシェアして、お互いのことをリスペクトし、思いやりながらプロダクトをつくるのが、とても新鮮です。
――これからのLegal Forceでの仕事にどんなことを期待していますか?
契約業務の革新に立ち会うことです。デザインの業界も、昔は写植を使ってレイアウトして、版下(はんした)をつくって…と、紙中心でした。紙の契約書がなくなる瞬間を見られるかもしれないと、ワクワクしています。
これまで、企業が市場で戦うには、資本の大きさや業界での歴史の長さなどが武器になってきました。LegalForceの製品によって、すごく小さな会社でもうまく契約を交わすことでゲームチェンジが起こる可能性が出てくる。この会社で、そういうことに関われたらいいなと思っています。