契約書レビューサービスのパイオニア。2500社以上の顧客を抱えるLegalOn Technologiesだからこそできた、契約実務の体系化とは
こんにちは、LegalOn Technologiesの広報担当です。
契約実務を体系的・網羅的にまとめた実用書「ザ・コントラクト 新しい契約実務の提案(出版社:商事法務)」が5/23(火)に発売。
その編集代表を務めた当社の執行役員・法務開発責任者で、日本・ニューヨーク州弁護士の奥村にインタビュー。
なぜリーガルテックの1企業である当社が、このような実用書を出版できたのか、その裏側に迫ります。
企業ごとに存在する課題や方法
─ 今回、書籍「ザ・コントラクト」が出版されたということで、まずは概要を教えてください。
大まかには、契約実務に対する考え方から契約オペレーション全体の流れ、その工程ごとに意義を再定義し、留意点まで解説しています。
さらに、特定の業界の方々にも執筆をいただいたので、実際に企業において生じている課題と対策も紹介しています。
契約実務のオペレーションにおける共通する部分について、体系的に情報をまとめました。一方で、表面上に現れる課題は企業ごとに差異があります。
例えば、大手の場合は自社のガバナンスのみではなく、グループガバナンスをどう統制していくか、中小企業の場合は一人法務で品質を維持しつつ、どう業務を効率化していくかなどの企業規模によっての差異などです。
普遍的な内容に加え、こうした企業規模や状況による個別事例にも実際の事例を用いて言及することで、自社の課題感に即した情報を拾うことも可能です。
また、事業部とのコミュニケーション方法や締結後の契約書の保管方法の事例など、契約実務にまつわる業務全般まで網羅することで、法務担当者以外の契約実務に関わる方々にも参考にしていただける書籍となっています。
─ 出版された背景は何ですか?
これまで、契約法務の実用書は電子契約や審査に特化したものが出版されていたくらいで、契約実務全体が体系化されたものは見当たりませんでした。
契約業務全般をさらう形で学びたい契約業務初心者の方や、契約業務に漠然と課題を感じながらもどういう事が課題となっており、どういう解決策があるのかについて、改めて考えたい法務のマネージャーの方に向けた書籍出版したいと考えました。
― なぜこれまで体系化された契約実務の実用書がなかったのでしょうか?
明確な理由は私も分かってはいませんが、契約実務では機密情報を多く扱うために法務担当者間、企業間での情報共有が難しいことや、企業ごと特有の慣習がありノウハウの一般化が困難だったことが理由として考えられます。
─ 契約実務の書籍化を、なぜ実現することができたのでしょうか?
当社では3000社を超える多くのお客様がいらっしゃるため、多くのお客様からのお悩みや課題をヒアリングさせていただく機会をいただいており、そこから契約実務に関する包括的な洞察を得られたからです。
また、当社はリーガルテックサービスを提供する会社として研究をする中で、今回、執筆にご協力いただいている早稲田大学大学院法務研究科の石田教授、一橋大学大学院法務研究科の小林教授をはじめとする法務の研究者と関係を構築できたことも出版の大きな後押しとなりました。
私個人の経験としても過去に法律事務所でコーポレートローヤーとして、主に企業法務・国境を越えて行うクロスボーダーM&Aなどの案件に関与しており、契約実務に携わっていた経験があり、実務での経験も、まさにそのまま活かすことができました。
─ お客様の声をたくさん聞いてきたということですが、例えばどのような課題があったのでしょうか?
まず、契約書の作成や審査に時間がかかってしまうことや、また、担当者によって判断や解釈が異なり、一貫した回答ができていないことです。
例えば、過去にAさんに確認してもらった契約書をBさんに審査依頼をすると、Aさんに言われたことと異なる回答があったり、以前は指摘されなかった部分について指摘されたり、という事例は頻繁に起こります。
こういった課題をクリアした契約実務を実現することは、多くの企業にとって自然にできるものではない、というのが現状です。
─ これらの課題は、なぜこれまで改善されてこなかったのでしょうか?
これまで“なんとかできてきているから”ということかと思います。
ミスを減らすためにまず考えられるのが、担当者3人掛かりで審査するなど、人海戦術に頼ることがあります。人を増やすことや、人が頑張る事で契約業務はどうにかできていたという側面はあります。ですが、契約業務を含む法務の役割が拡大していく中で、人の増加だけでは対応ができなくなりつつあると思っています。このような法務の役割の変化を踏まえて、改善が必要となり、やはりテクノロジーの力も借りていかないといけないという認識が広がってきているのではないかと思います。
“時間的余裕”を生み出し、攻めの法務を実現する
─ テクノロジーはこれまでの人海戦術に頼った法務体制を変革できると考えていますか?
変革できると考えています。現状のテクノロジーは、それ自身が人のように創造的な仕事をできるものではないとは思いますが、契約実務を効率化させ、法務の足元を盤石にするツールとしては十分に機能できますし、人間に時間的余裕を与えることで創造的な法務の実現に寄与するという機能は十分期待できると思います。
─ では、時間的余裕で法務担当者はどんな価値を創造していくべきでしょうか?
今、法務に求められているのは事業成長に貢献することです。
所謂“守りの法務”と呼ばれる日常の契約業務や法令遵守は非常に重要ですが、これらを強化しても事業成長に直接的な貢献が見えにくいと言われます。
これから法務に求められる役割としては、例えば新規事業の立ち上げから法務が関わり、スキームの構築や事業成長のための契約交渉などに関して、法律知識を活用して前向きな助言をしていくなどと言われており、この役割が、“攻めの法務”と呼ばれています。
契約書は企業にとって、事業成長のための武器
─ この本を法務担当者以外のビジネスパーソンが読んだ場合、どんなメリットがありますか?
そもそも契約とは?という大前提の部分から、契約実務の重要性を理解できるところです。
法務や契約担当者ではない場合、契約ってある意味形式的な通過儀礼のように捉えている方もいらっしゃると思います。ですが、契約を締結することで、初めて相手方に正式に請求し、義務を履行してもらうことを求める権利が生じるものです。どんなにうまくビジネスの話が進んでいたとしても、それを強制させることができなくては、ビジネスの実現可能性に疑義が生じることもでてきます。その意味で、ビジネスを成功に導くためには、契約という武器が必要となると考えています。
契約締結は、単なる儀式ではなく、契約の意義やその重要性を考える良い機会にもなると思います。事業を適切に進めていくために必要な情報資産であることを知ってもらえたら嬉しいですね。
─ 最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
本書では多種多様な事例や手法を記載しています。
これまで釈然としなかった、または無意識に当然のことと思っていたことが、実は課題であったり問題であることを改めて認識できるような内容になっていると思います。
課題を認識されている方々は当然読んでいただきたいですし、大変だが解決しようとは考えていないという課題が顕在化していない方でも様々な気付きが得られるのではないかと思っています。
もし、共感できる部分があれば、是非熟読していただき、解決策を参考にしていただき、皆様の実務を変えるための1つの指針としてご活用いただけたら嬉しいです!!
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